こんにちは、モスです。
前回、緑茶カテキンの体脂肪を減らす効果について紹介しました。
緑茶カテキンは、体脂肪を減らす効果だけでなく、血圧の低下、心疾患リスクの低減や脂質代謝の改善等、さまざまな健康上のベネフィットが報告されています。緑茶に関するトクホ関係商品の盛り上がりを見るに、非常に注目度が高いと言えます。
緑茶カテキンに分類されるカテキン類の中でも、エピガロカテキンガラート epigallocatechin gallate (EGCG)は、最も重要なものと認識され、研究もさかんに行われています。下記の記事で、緑茶カテキンの効果について詳細に紹介しているので、ぜひそちらも参照ください。
さて、今回は、緑茶カテキンに関するリファレンス記事ということで、
① カテキン(EGCG)を最も含むお茶は何?
② カテキン(EGCG)を効率的に抽出する方法はどんなの?
の2点について、まとめていきます。
1.カテキン(EGCG)を最も含むお茶は何?
緑茶カテキンの含有量は、お茶の種類によっても大きく異なっています。
例えば、アッサムやウーロン茶は、EGCG含有量が低く、一方で、緑茶はEGCG含有量が非常に多いのが特徴です。ダージリンもアッサムと同じブラックティーに分類されますが、意外とEGCGの量が多いです。
お茶の種類による各種カテキン類の含有量は、以下のようになります。
表 茶葉1g中の各種カテキン類の含有量
お茶の種類 | エピガロカテキン | エピカテキン | エピガロカテキンガラート | エピカテキンガラート | 総カテキン量 |
ダージリン | 1-9mg | 0-4mg | 28–71mg | 9–22mg | 44-100mg |
アッサム | 0-1mg | 0-2mg | 6-16mg | 3-9mg | 9-28mg |
アールグレイ | 0-10mg | 0-6mg | 0-28mg | 2-27mg | 5-70mg |
ウーロン茶 | 8-112mg | 1-6mg | 3-31mg | 1-9mg | 15-156mg |
緑茶(中国) | 20–46mg | 6-38mg | 61-116mg | 11-55mg | 113-195mg |
緑茶(日本) | 25-48mg | 6-17mg | 43-82mg | 6-15mg | 85-159mg |
出典 https://www.sciencedirect.com/topics/neuroscience/catechin
また緑茶カテキンと呼んでいますが、カテキン類はお茶だけに含まれれているわけではなく、カカオやベリー類にも含まれています。
例えば、可食部100gあたりのカテキン類の含有量は、
リンゴ 10-43mg(EGCGが最も豊富)
チェリー 5-22mg(EGCGが最も豊富)
カカオ 46-61mg
とはいえ、ベリー類やカカオの取りすぎは、糖質や脂質の取りすぎに直結するので、意識して、カテキンを摂取したい場合は、緑茶を活用するのがベストといえそうです。
一応まとめ
・ お茶の種類によって、カテキン類の量は大きく異なる
・ やっぱり、緑茶にEGCGが多く含まれる
・ 意外とダージリンティーにもEGCGが多く含まれる
2.カテキン(EGCG)を効率的に抽出する方法はどんなの?
茶葉に含まれる緑茶カテキンの量は把握できました。でもお茶として淹れるとき、含まれている緑茶カテキンがすべて抽出されるかというとそうではありません。
淹れるときのお湯の温度、蒸らしの時間などによって大きく緑茶カテキンの抽出量が変わります。
緑茶カテキンの抽出量について、研究しまとめている素晴らしい論文を見つけましたので、それを引用しながら、表題について迫ってみようと思います。
論文は、
Effect of brewing temperature and duration on green tea catechin solubilization: Basis for production of EGC and EGCG-enriched fractions
意訳:緑茶カテキン抽出における抽出温度と時間の影響
Separation and Purification Technology 49 (2006) 1–9
お茶の抽出は、20gの茶葉を1000mLの水を使い、温度を50~90℃、時間を5~80分と条件を振った時の各種カテキン類とカフェインの抽出量を分析しています。本研究は、カナダの研究グループによるものですが、日本の緑茶を使っているところがなんだかわからないけど、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
通常のお茶は、茶葉4gに対し、150~200mL程度の水ということなので、論文の方法は、ちょうど、飲むのと変わらない茶葉とお湯の量と言えそうです
緑茶カテキンの抽出の結果を下記にまとめました。
表 エピガロカテキンガラート(EGCG)の抽出量(mg/100mL)
温度/時間 | 5分 | 10分 | 20分 |
50℃ | 1.55 | 7.72 | 24.5 |
60℃ | 10.5 | 17.7 | 55.7 |
70℃ | 34.8 | 61.3 | 70.2 |
80℃ | 34.3 | 48.3 | 93 |
90℃ | 49 | 76.4 | 104 |
表 カテキン類のトータル抽出量(mg/100mL)
温度/時間 | 5分 | 10分 | 20分 |
50℃ | 70.4 | 91.1 | 138.4 |
60℃ | 68.1 | 96.1 | 179.1 |
70℃ | 106 | 166.6 | 173.7 |
80℃ | 106.8 | 186.6 | 255.4 |
90℃ | 134.6 | 187.8 | 246.2 |
論文のTable2の結果を改変
これらのグラフから明らかなのは、予想通り、温度が高いほど、時間が長いほどEGCGならびにカテキン類の抽出量が増えるということです。
一般的な煎茶の入れる条件は、85℃の熱湯で30~60秒以内とのことですが、この表から鑑みると、よりきちんとカテキンを抽出したい場合は、90℃以上の熱湯で5分以上、蒸らしてから飲むのがいいのではないかと思います。
緑茶の本来のおいしさを満喫することからは、ある意味、逆行しているかもしれません。ここら辺はバランスを取りながら、自分のあっている条件を探してみるのもよいかもしれません。私は、結構、渋め、濃い目が好きなので、あえて5分以上蒸らして飲むようにしています。
また、こちらの論文の結果によると、コールドブリュー(水出しの緑茶)では、熱湯での抽出に比べて、1/5から1/10程度しかEGCGが抽出されないので、注意です。
まとめ
・ 温度が高いほど、蒸らしの時間が長いほど緑茶カテキンは抽出されやすい
・ 90℃以上の熱湯で、5分以上蒸らすと効率的に抽出できる