こんにちは、モスです。
過去の記事で、朝食抜きダイエットについて、最近の学術的な研究結果を見てみると、基本的には、逆効果につながる可能性が高いことがわかりました。ということで、個人的には、朝食ダイエットはお勧めしたくない方法です。
ただ、さらに文献を読み進めてみると、違う観点が見えてきます。それは、朝食は取らないことで、有意にダイエットに対して負の効果(BMIの増加、糖尿病や心疾患等のリスク増加)がありますが、昼食、夕食を取らないこと、すなわち1日3食でないといけないかというと、必ずしもそうではないということです。
すなわち、1日3食食べないと太るは、正しくない
ということです。
じゃあ、1食とか2食とかでもいいのか、逆に5回とか6回とかでもいいのか、疑問がわいてきます。ネットで「食事回数、ダイエット」と検索するとわかりますが、1日2食をおすすめしているものもありますし、5食、6食をおすすめしているものもあります。
正直、本当に何がいいのかわからないです。
ということで、この記事では、表題にあるとおり、
ダイエットに効果的な食事回数は、いったい何回なのか?について、最新の学術研究の結果を参照して、その答えに迫ってみたいと思います。
少し、最初にネタバレしますが、実は回数はあまり重要ではなく、タイミングが大事です。なので、自分の生活スタイルや体質に合った回数で、きちんと摂取するタイミングを決めて継続することが、とっても大事です。
詳細は、下記を参照ください。
ダイエットに食事の回数は関係ない???
いきなり、記事のタイトルを裏切ります。
食事の回数とダイエットに関するレビュー論文を読みました。体重を減らすには食事回数が多いほうがいい、食事回数が少ないほうがいい。それぞれ10以上の研究結果が全く逆の結論を述べています。
こういう時、データサイエンティストとしての観点から答えると、
食事の回数は、体重に相関が無い=関係ない
そう考えます。むしろ、食事の回数以外に重要な因子(説明変数)を見逃している可能性が高いです。
とはいえ、それぞれの主張がどんなものなのか、ざっと参照していきたいのと、今回参考にしたレビュー論文は、食事の回数やタイミングが体重の増加やその他の健康リスクにどう影響を与えているかを、非常にわかりやすくまとめているので、ぜひ紹介させていただきたいと思います。
The Influence of Meal Frequency and Timing on Health in Humans: The Role of Fasting
意訳:食事回数とタイミングが体重、健康リスク等に与える影響;断食の効果
Nutrients. 2019 Apr; 11(4): 719
まず、食事回数多いほうが良いと報告しているもの
食事回数 | 効果 | 参考論文 |
17回以上vs3回 | トータルコレステロール 8.5%減少 LDLコレステロール 13.5%減少 インスリン濃度 27.9%減少 | 1 |
4回以上vs3回以下 | 肥満のオッズ比 0.55 (4回以上は肥満の出現リスクが低い) | 2 |
3回vs2回 | 食事2回は、2型糖尿病のリスクが25%高い | 3 |
間食ありvs間食無し | 間食2回 肥満のオッズ比 0.4 間食4回 肥満のオッズ比 0.36 | 4 |
参考論文1 https://dx.doi.org/10.1056/NEJM198910053211403
参考論文2 https://doi.org/10.1093/aje/kwg117
参考論文3 https://doi.org/10.3945/ajcn.111.028209
参考文献4 https://doi.org/10.3945/jn.116.244749
食事回数少ないほうが良いと報告しているもの
食事回数 | 効果 | 参考論文 |
3回vs1,2回 | 食事2回/日がBMI/年0.029低い (ただし朝食を食べないと0,029高くなる) | 4 |
5回以上vs3回 | 10年間で5kg増加のリスクが15%増加 (ただし朝食を食べるとリスクが23%低い) | 5 |
4食以上vs3食以下 | 1日3食以下 平均BMI 24 1日3.5~6食 平均BMI25.2 1日6食以上 平均BMI26 | 6 |
参考文献4 https://doi.org/10.3945/jn.116.244749
参考文献5 https://doi.org/10.1038/oby.2007.292
参考文献6 https://doi.org/10.1038/sj.ijo.0803456
ということで、食事の回数だけでは、ダイエットに良い、悪いと言えないことがわかります。
ただし、少し上の表にも出てきましたが、食事回数少ないほうが良いと主張しているものでも、朝食を取らないことは、ダイエットに対してマイナスの効果があるようです。
すなわち、
①食事の回数は、体重の減少、増加に関係ない
②朝食は取るべきなど、食事のタイミング・摂取法と、ダイエットに大きな相関がありそう
ということで、食事のタイミング、摂取法に注目して見ていきます。
朝食と夕食のタイミングがダイエット成功の鍵
朝食を取らないことは、相当な数の研究結果から、一様に、体重の増加だけでなく、糖尿病や心疾患のリスクも報告されていますので、相当きちんと管理できる方以外は、朝食を食べることが賢明だと思います。
また、下記論文に、詳しく説明されていますが、一般的に耳にする「夜遅く食べると太る」という文言にもあるとおり、夕食を遅く食べることも、ダイエットに大敵です。もっと言えば、論文にある通り、心疾患(CHD)のリスクが55%(95%信頼区間 5~129%)高くなるという結果が報告されています。
Prospective Study of Breakfast Eating and Incident Coronary Heart Disease in a Cohort of Male US Health Professionals
Circulation. 2013;128:337–343
ここは、短いですが、超重要ポイントです。まとめると
①朝食は絶対に食べるべき
②夕食は早めに食べる(次の朝の直食まで12時間以上ある時間までに)
そして、朝モリモリ、夜ひかえめで完璧
朝食重視と夕食重視でどれくらい違う?
朝食食べて、夕食は早めに、それができたら50%。あとは、朝、昼、晩、どのような食事のバランスで食べればいいのかに迫ろうと思います。
答えは、タイトルにある通り、「朝モリモリ、夜ひかえめ」です。
1つ非常におもしろい取り組みをした研究を紹介します。
High Caloric intake at breakfast vs. dinner differentially influences weight loss of overweight and obese women
意訳:朝食と夕食どちらにカロリー摂取を重視すると過体重・肥満の女性の体重減少に影響する?
ObesityVolume 21, Issue 12
この研究では、93人のBMIが25~37の過体重・肥満の女性を対象として3か月間にわたっておこなわれました。被験者は、朝食重視群と夕食重視群の2つのグループに分かれ
朝食重視群 朝食 700 kcal 昼食 500 kcal 夕食 200 kcal
夕食重視群 朝食 200 kcal 昼食 500 kcal 夕食 700 kcal
と1日の総カロリー摂取量は同一になるよう食事をして、その変化が比較されています。
試験3か月後の結果を下記表にまとめました。
朝食重視群 | 夕食重視群 | |
体重 | ‐11 % | ‐4 % |
BMI | ‐10 % | ‐5 % |
ウエスト | -7.90% | -3.20% |
中性脂肪 | 180→119mg/dl(‐33.6 %) | 178→204mg/dl(+14.6 %) |
インスリン抵抗性(HOMA-IR) | 4.7→2.0(-57%) | 4.3→2.9(-32%) |
インスリン抵抗性:健康な人と比べて糖尿病の人では、同じ量のインスリンを注射しても糖尿病の人のほうが下がりにくい。すなわちインスリンが効きにくい状態。その指標としてインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)があり、2以上を日本人でのインスリン抵抗性有りとし、4以上を強いインスリン抵抗性有りとしています。詳しくはこちら
中性脂肪の基準値は、30~149mg/dL
この表からわかるとおり、摂取した総カロリー数は同一にもかかわらず、朝食重視群のほうが、有意に体重、BMI等の数値が低くなっています。
さらに特質すべきは、中性脂肪の数値が、朝食重視群では正常値に改善していることです。一方で、夕食重視群では、逆に数値が悪化しており、脂質異常症という状態です。この状態が続くと、血液がドロドロの状態になり、動脈硬化を進行させる原因となります。
体内時計が朝食の重要性の決める鍵
なぜ、夕食重視では、そのような結果になるのか?また先に述べた朝食を食べないことがマイナス効果につながるのか?詳しくは別の記事にまとめたいと思いますが、簡単に言うと、体内時計がその鍵を握っているようです。
正確には、概日リズム(がいじつリズム、circadian rhythm サーカディアン・リズム)と呼ばれていて、その名前の通り、24時間周期で変動する生理現象のことです。よく朝の太陽の光でリセット(修正)されると聞くと思いますが、実は、概日リズムは温度、食事などの刺激によってもリセットされています。
端的に、概日リズム(体内時計)の役割をまとめると
・ 体内時計は、脳の親時計と全身の抹消組織に子時計が存在する
・ 朝食を取ることが子時計のリセットに必要
・ 子時計は、グルコースの代謝、インスリン分泌、脂質代謝の調節に関与
→ 朝食を取らないことが、体内時計を乱し(親時計と子時計がバラバラになる)、その結果、グルコースの代謝、脂質代謝等の異常につながる
朝食を食べないという選択は、人間の遺伝子の働きの観点からも良くないということです。これまで読んだ研究結果から、やはり私は、朝食抜きダイエットはしないほうがいいというスタンスです。
ちなみに、夕食が遅くなると太るのは、BMAL1という体内の生活リズムを整えるタンパク質分子が、ちょうど夜間に増えることに起因すると考えられているようです。このBMAL1は、脂肪細胞内の脂肪酸、コレステロールをの合成を活発化し、脂肪細胞に取り込もうとする働きがあります。
朝食抜きと遅い夕食が体重の増加につながることが、そもそも体内時計と関わっていることに、非常に驚きました。下記に、関連する論文(フリーで読めます)を載せておきますが、個人的に非常に興味を持っているので、近いうちに調べて記事にしてみたいと思います。
Circadian Disruption Leads to Insulin Resistance and Obesity
https://doi.org/10.1016/j.cub.2013.01.048
Circadian Rhythms and Obesity in Mammals
https://dx.doi.org/10.5402%2F2012%2F437198
朝食、昼食、夕食の割合はどれくらいがいい?
結論からいいますと、すでに上で述べられている。朝食を絶対に食べる。夕食を夜遅くに食べない(特に夜21時以降)ということを守れば、
朝食、昼食、夕食の割合は神経質になる必要はない
と思っています(あくまで我々、一般の人達に対してです。一部のボディメイク系のアスリートや過酷な減量や増量を必要とする人たちは、別次元の話です)。
一般的に推奨されているカロリー配分は、朝食30% 昼食40% 夕食30%とのことですので、これを1つの目安とするのがよいでしょう。
1日 2000kcalとすると、朝食 600kcal 昼食 800kcal 夕食 600kcalです。
ただし、あまり、この推奨値に振り回される必要はありません。
重要なのは、今の自分の現状を把握して、少しづつ改善していくことだと思います。
例えば、朝食を取らず、昼夜、完全ドカ食いであれば、
現状 昼食50%(1000)、夕食50%(1000)
↓
変更 朝食20%(400)、昼食40%(800)、夕食40%(800)
↓
変更 朝食20%(400)、昼食40%(800)、間食10%(200)、夕食30%(600)
※理解のため1日の総カロリー数を2000kcalとして、()内に各食事のカロリー数
として、朝食を取り入れるようにするなど、各個人の食生活や生活スタイルに合わせて決めていくことが重要です。
まとめ
最後に全体も含めてのまとめです。
① 食事の回数は、体重の減少、増加に関係ない
② でも朝食は絶対に取るべき、夕食は21時前に取る
(次の朝の直食まで12時間以上ある時間までに)
③ 朝食重視、夕食軽めがいい。朝食3、昼食4、夕食3を目安に
ダイエットに効果的な食事の回数と摂取方法についてみてきましたが、ここでも朝食の重要性に改めて気づかされました。それに相対する朝食抜きダイエットの是非についてまとめた記事もぜひぜひ見てみてください。