こんにちは、モスです。
最近、とっても気になっている話題があります。
それは、朝食抜きダイエット。
これは、かなり賛否両論ある方法ですが、実践している方も多いようで、「朝食抜き ダイエット」などググってみると、関連する情報がたくさんヒットします。朝食抜きについて、どのような意見なのかざっとまとめてみると下記のようになっていました。
(サイト名を示すと、場合によっては批判しているように映ると思ったため伏せています)
○ 朝食抜きダイエットをお勧めしている
△ メリットとデメリットを示して、自分に合う方法を選択することを進めている
× 朝食抜きダイエットをお勧めしない。朝食は食べるべきと主張している
サイト | 朝食抜き | 引用 |
A | △~× | 無し |
B | △ 人による | 無し |
C | × | 無し |
D | ○ | 無し |
E | ○ | あり |
F | ○ | 無し |
G | ○ | 無し |
H | ○ | 無し |
朝食抜きダイエットに関しては、意見は二分していますが、朝食抜きダイエットをおすすめしている方々のほうが、若干多いようです。
とはいえ、これだけ意見が二分していると、どちらが正しいのか、どちらを信じればいいのかわからない!ということで、
朝食抜きダイエットに関する学術研究の結果をみてみることで、朝食は取るべきなのか?それとも、抜いてダイエットの手法として活用していいのか?その答えに迫ってみたいと思います。
ちなみに、私は、しっかりと朝食を食べる派です。普段から筋トレをしていますので、タンパク質の豊富な朝食をしっかりとることによって、ネガティブになっている筋タンパク合成バランスを、しっかりとポジティブにすることを心掛けています。
1.朝食抜きと肥満との関係
1.1.はじめに、用語解説
朝食抜きというテーマについて、調べてみたところ、非常に多くの大学や研究機関が研究を進めていることがわかりました。それも、それこそ2000年以前から、朝食抜きの影響について研究が進められており、2018年以降には、数十の関連する研究結果を、収集・統合し、統計的手法によって、その効果を解析するメタアナリシスを実施した論文も多数報告されていました。その点から言うと、朝食抜きの影響について、学術研究の最新の見方がどうなっているのか知ることができそうです。
Skipping breakfast is associated with overweight and obesity: A systematic review and meta-analysis
意訳:朝食抜きと過体重・肥満との相関;メタアナリシスによる結果
Obesity Research & Clinical Practice, Vol.14, Issue 1(2020), 1-8
引用する論文は、まさに今回の「朝食抜き」の影響について述べている、ドンピシャな内容の論文です。
本論文では、45報の朝食抜きと過体重や肥満との関連について述べた論文の結果を、統計解析的手法を使って、一段階高い見地での考察をしています(メタアナリシス)。
まず結果を見ていく前に、いくつか用語解説です。
◇過体重と肥満について
過体重(Overweight) BMIが25以上 (身長170cmで72.3kg以上)
肥満(Obesity) BMIが30以上 (身長170cmで86.7kg以上)
出典:Wikipedia
BMIは、BMI = 体重kg ÷ (身長m)2というシンプルな式で表され、22が適正値とされています。このサイトなどで、計算することができます。
◇オッズ比について
言葉で定義しても正直わかりにくいので、具体例で説明
肥満 | 普通 | 合計 | オッズ | |
朝食食べない | 30 | 70 | 100 | 30/70 = 0.43 |
朝食食べる | 20 | 80 | 100 | 20/80 = 0.25 |
合計 | 50 | 150 | 200 | 0.43/0.25 = 1.71 |
ここでの赤線の部分がオッズ比です。
オッズ比は、ある疾患(この場合、肥満)などへの罹りやすさを2つの群(この場合、朝食食べる群と食べない群)で比較して示す統計学的な尺度のこと
朝食食べない群で肥満の出現するリスクが、朝食食べる群に対して1.71倍高いということです。※非常に紛らわしいですが、朝食食べないほうが、食べるよりも、肥満になるリスクが1.71倍高いということではないです(リスク比は1.5倍)。
詳しい定義や解説などは、下記サイトが非常にわかりやすいと思いますので参照ください
①オッズ比とは?わかりやすくリスク比との違いを簡単に解説!
②薬学用語解説 オッズ比 公益社団法人 日本薬学会
1.2.朝食抜きと過体重や肥満との相関は?
結果を下記の表にまとめました。この時のオッズ比は、上記と同じで、過体重や肥満への罹りやすさを2つの群(朝食食べない群と朝食食べる群)で比較したものです。
オッズ比 [95%信頼区間] | |
過体重を扱った研究 7報 | 1.30 [1.16, 1.47] |
肥満を扱った研究 17報 | 1.48 [1.36, 1.62] |
両方を扱った研究 21報 | 1.53 [1.41, 1.66] |
表からわかるとおり、オッズ比はどれも1を超えており、朝食を食べない群の過体重、肥満の出現リスクが、食べる群よりも高くなっていると言えます。
要するに、
朝食を抜くことと、過体重・肥満には相関性がある
=朝食を抜くことで、太るリスクが増大する
論文によると、朝食を抜くことによる太るリスクは、1.44倍と報告しています。
※リスク比=朝食と抜く群の肥満の割合/朝食を取る群の肥満の割合
これらの結果は、朝食抜きを積極的にダイエットに適用して、その結果について調べたものではありません。朝食をあまり食べない人たちと、朝食をしっかりと食べる人たちを比較して、結果的に、朝食を抜く人たちのほうが肥満のリスクが高いという結果になっているということです。
モス個人的な考えとしても、肥満のリスクが高くなる朝食を抜く行為が、ダイエットに効果的なのかということについては、疑問を持っていて、やっぱり朝食は、多かれ少なかれ取ったほうがいいのではと思っています。
2.朝食抜きと肥満の関係 子供編
今回、朝食抜きに関する論文を見ているとき、子供を対象にした研究も数多く発見しました。朝食を食べる習慣がない親は、その子供にも朝食を食べさせないことも多いらしく、それが、子供の健康や成長に悪影響があるのではないかという問題意識から来ているのではないかと思います。
私も、小学生の子供を持つ親として、非常に気になったので、朝食抜きが子供への肥満に与える影響について、少し深く調べてみました。
Association between skipping breakfast in parents and children and childhood overweight/obesity among children: a nationwide 10.5-year prospective study in Japan
意訳:親の食習慣が子供の食習慣に与える影響と、朝食抜きと子供の肥満との相関について;日本における10.5年の追跡調査の結果
Int J Obes 42, 1724–1732 (2018)
紹介する論文は、これもまたドンピシャな内容です。訳文は、かなり意訳していますが、要は、親の朝食を取る取らないの食生活習慣が、子供の朝食を取る取らないの食生活習慣にどれくらい影響するかということと、朝食を取らない子供はどれくらい肥満のリスクが増えるかについて、まとめられたものです。
この論文のすごいところは、2002年の1.5歳から2012年の12歳になるまで、10.5年間の追跡調査の結果であることと、43,663人もの子供が対象となっていることです。
結果を見ると、当然ながら、親が朝食を取らない家庭は、子供も朝食を取らない傾向にあるようです。この結果は想像に難しくないですよね。両親が朝食取らないのに、子供が朝食取るのは、なかなか想像しずらいです。
そして、過体重、肥満の影響をまとめてみると下記のようになります。
過体重(BMI 25以上) | 肥満(BMI 30以上) | |
オッズ比[95%信頼区間] | 1.18 [1.05-1.32] | 2.16 [1.55-2.99] |
朝食を取らない子供は、朝食を取る子供に対して、過体重は1.18倍、肥満は2.16倍出現リスクが高くなるという結果になっています。
また2020年に出された別の報告では、女子についてのみ、過体重、肥満に相関があり、男子には、相関がみられなかったという結果が得られています。いずれにしても、朝食と肥満との因果関係は、家庭環境や性別、国、地域によって、大きく影響を受け、簡単に結論付けることはできなさそうですが、総じてみれば、朝食を取らないことは、肥満に対しては、マイナスの影響という見方ができそうです。
また、下記で詳しく述べますが、朝食を抜くことによって、昼食後などのインスリン濃度が高くなり、それが、結果的に代謝の柔軟性(metabolic flexibility)を誘起し、結果として、糖尿病などの病気につながるのではという論文も報告されています。
3.朝食を取らないことが、2型糖尿病のリスクを増大する?
冒頭で書いた通り、私自身は、朝食を食べる派です。でも、食べるべきという考えは持っていませんでした。朝食を取る取らないは、個人の生活スタイルや好みもあるので、まあどちらでもいいという考えでした。
ただ、今回、朝食を取らないことに関する学術研究を調べてみて、今は、朝食はやっぱりしっかりと取ったほうがいいかなという考えに変わってきています。理由は、タイトルの通りです。
Breakfast Skipping is Positively Associated With Incidence of Type 2 Diabetes Mellitus: Evidence From the Aichi Workers’ Cohort Study
意訳:成人における朝食を抜くことと2型糖尿病との相関性;愛知県庁職員の追跡調査
J Epidemiol. 2015;25(5):351-358.
引用した論文は、愛知県庁職員4631名を対象として、2002年から2011年までを追跡した研究結果(コホート研究)をまとめたものです。
下の表は、朝食を必ず食べる群の2型糖尿病にかかるリスクを1としたときの、朝食を食べる頻度によるリスク比をまとめたものです。
見方は、リスク比が2であれば、2型糖尿病になるリスクが2倍と素直に読み替えてもらって問題ありません。
朝食を必ず毎日食べるに対する 2型糖尿病にかかるリスク比 (95%信頼区間) | |
ほぼ毎日食べるが時々食べない | 1.06 (0.73-1.53) |
週3-5日食べる | 2.07 (1.20-3.56) |
週1-2日食べる | 1.37 (0.82-2.29) |
食べない | 2.12 (1.19-3.76) |
この表からわかる通り、朝食を基本食べていて、時々食べない時がある程度であれば、影響はなさそうですが、週の中で食べない日が2日以上、定常的にある場合においては、2型糖尿病にかかるリスクが上昇するという結果になっています。
上記の論文を含めた6報のメタアナリシスの結果が、下記の論文にまとまっていて、結論は同じです。
Breakfast Skipping Is Associated with Increased Risk of Type 2 Diabetes among Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies
意訳:成人における朝食を抜くことと2型糖尿病との相関性
The Journal of Nutrition, Volume 149, Issue 1, January 2019, Pages 106–113
個人的に、上記の表を見て、不思議だなと思ったのは、週1~2日食べるよりも、週3~5日食べる群のほうが、リスク比が高くなっているのかなというところです。この部分が朝食抜きのリスクを考える上で、実は非常に重要なのではと思っています。
参照としたこちらの論文によると、朝食を抜くことによって、昼食を取った時のインスリン濃度がより高い状態を生み出すとしています。このことが代謝の柔軟性を失わせ、これが長期間続くと、徐々に糖代謝の恒常性を失なわれてしまう(=糖尿病)と述べています。朝食を食べるのが週3~5日という状態は、朝食を食べるときと食べないときを、頻繁に繰り返し経験するため、体としては、もしかしたら負担のある状態なのかもしれません。
ただ、いづれにしても、
朝食を週2日以上食べない場合、有意に2型糖尿病にかかるリスクが増大する
これが、最近の学術研究の結果のまとめです。
こういう結果を見ると、そもそも朝食抜きダイエットって、してはいけない部類のもののような気が、正直しています。
逆に朝食抜きダイエットが、なぜこんなに肯定的に扱われているのか、非常に気になりますので、どのようなデータに基づいて、朝食抜きダイエットが推奨されているのか、追加調査をしたいと思います。まとまりましたら、また、別記事にて報告します。
4.まとめ:朝食は、やっぱりちゃんと食べましょう
ということで、数多くの学術研究を見てきたなかでの、結論としては
朝食は、ちゃんと食べましょう
ということです。
下記サイトでも、
【管理栄養士執筆】朝食抜きはダイエットに悪影響を与える理由
述べられているように、
・バランスのよい朝食を
P タンパク質、F 脂質、C 糖質を基本として、ビタミン、ミネラル、食物繊維がバランスよく摂取することを心掛けたいですね。
カルビー グラノーラプラス プロテインin(420g*8袋セット)【カルビー グラノーラ】 価格:4,786円 |
個人的には、上のグラノーラはお勧めで、自分自身も朝食の定番メニューです。グラノーラは、糖質、脂質は入っているけど、タンパク質が不足していることが多かったのですが、本商品は、タンパク質が強化されており、非常にいいPFCバランスになっています。
・1日の2~3割くらいを目安に
朝は、食欲がないこともありますし、もともと食べる習慣のない人にとっては、1/3のカロリー摂取は大変です。また、食べすぎも当然よくないですよね。1日の総摂取カロリーの2~3割くらいを目安にしてはいかがでしょうか?
その人の体重や代謝によりますが、おおよそ、300~600 kcalの間くらいです。
例えば、
グラノーラ1食分+牛乳200mL 約400 kcal
食パン6枚切り1枚 約160 kcal
フレンチトースト 約420 kcal
納豆ご飯 約410 kcal
なんとなくイメージがつけば幸いです。
ということで、最後は、駆け足でしたが、朝食抜きダイエットという方法にとらわれずに、朝食はやっぱりちゃんと食べて、3食バランスの良い食事をすることが一番というのが、結論です。
最後まで、読んでいただいてありがとうございました。
ダイエット目的に朝食抜きを考えている方は、ぜひ、下記の記事も一読してほしいです。
ダイエットは方法が大事ではないということをまとめています。
(ブログの1記事目のため、語り口調が少し変ですが、そこはご了承いただければ・・・)